上海のある家の2階で、占い師をやっているインド人の老婆が、アメリカ人の商人と話し合っていた。商人は戦争で大儲けをする為に、日米戦争がいつ頃起こるのかを占って欲しいと頼む。始めは渋っていた老婆だが、前金として小切手をもらうと愛想が良くなり、自分にはアグニの神がついているから占いは絶対に外れないと言って引き受ける。商人が帰ると老婆は家にいる一人の少女を呼びつけ、今夜アグニの神にお伺いをたてるなどと話す。
丁度その時、下の通りからその様子を見ている日本人がいた。日本人は名を遠藤といい、行方不明になった香港領事の娘を探していて、2階にいる少女が領事の娘、妙子ではないかと疑う。遠藤は2階に押し入り、少女を返すよう求めるが、一向に聞き入れられない。遠藤はピストルを出して老婆を脅すが、老婆の魔法によってあっけなく追い返されてしまう。
遠藤は下の通りでどうしたものかと考えていたが、家の2階から妙子が書いた手紙が落ちてくる。手紙には、おばあさんはいつも私にアグニの神を乗り移らせて声を聞くから、自分は神に取り憑かれたふりをして自分を父の元に返すよう求めるという計画が書かれていた。
儀式が始まり、遠藤は2階のドアの前に立って盗み聞きをする。神の声が聞こえたが、その内容は少女を父親の元に返せというもので、老婆は妙子に、神に乗り移られたふりをするなと言う。しかし神の声はそれを否定する。怒った老婆はナイフで妙子を殺そうとするが、次の瞬間には自分自身を刺して息絶えた。
ドアを突破した遠藤は、妙子に計画の成功を伝えるが、妙子は自分は眠ってしまっていて計画は失敗したと言う。妙子は死んでいる老婆を見て、遠藤さんが殺したのかと聞くが、遠藤は、殺したのはアグニの神ですと答えた。